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プリフロップ参加レンジ

今回は、プリフロップの参加レンジについて解説していきます。

プリフロップはホールデムをプレイする中で最も多い頻度で訪れる局面なので、適切なハンドレンジでゲームに参加してEV*を最大化していきましょう。

*EV: Equity Valueのこと。ある状況において、あるアクションを選択したときに見込まれる利益・損失

 

最初にプリフロップを勉強する理由

前述のとおり、プリフロップはホールデムをプレイする中で最も多く判断を下す必要がある場面です。

そのため、プリフロップを誤った感覚で理解していると、1セッションの中で何度も何度もミスプレイを繰り返してしまうことになります。

またプリフロップを不適切なハンドで参加していると、後のストリートでの戦いが苦しくなります。

プリフロップを適正ハンドレンジよりも広いレンジで参加している場合

他プレイヤーよりも弱いハンドで参加していることになり、フロップ以降を弱~中程度の強さのハンドで戦わなくてはなりません。

特に中程度の強さのハンドでのプレイはアクション判断がかなり難しいので、初心者のうちは特に避けたほうがよいでしょう。

(経験者が初心者にホールデムを教えるとき、「ハンドレンジを絞ったほうが良い」とアドバイスする人が多いのも同じ理由です)

 

プリフロップを適正ハンドレンジよりも狭いレンジで参加している場合

後のストリートで強いハンドで参加できるので良いのではないかと考えた人もいるかもしれません。

ただし、レンジを適正よりも狭くプレイしていると、適正レンジでプレイしていた場合に見込めていたEVを取り逃していることになります。

例えば、BBvsBUのスポットでBUが3bb open(Big blindの3倍でレイズ)したときに、BBがQd7dでFoldした場合、コールすれば見込めたはずのEV 0.24を取り逃していることになります。

見込めたはずのEVとは、後のストリートを適切にプレイする前提で計算されている数値なので、初心者はFoldでもよいかもしれませんが、これから上達を目指している方は得られるはずのEVを取り逃していてはもったいないです。

また狭いレンジでプレイしていると、ハンドレンジがA,K,Q,Jなどハイカードに偏りやすくなるため、フロップが2,5,6のようなローボードになった場合にストレートなどができにくくなります。そのため、相手プレイヤーからハンドを読まれて上手く搾取されてしまう可能性があります。

 

他の欠点としては、狭いレンジでプレイしていると、他プレイヤーからハンドレンジが狭いタイトなプレイヤーだと認識されます。そうすると、自分にAA,KKなどのプレミアハンドが配られたときに最大の利益を獲得できなくなることが多いです。

相対しているプレイヤーがBetしたときに、相手がValue handとBlaff handの両方を持ちうるからこそCallするかどうか悩むのです。もし相手プレイヤーのハンドレンジが狭く、AA,KKなど強いハンドを持っている可能性が高いならば、相手のハンドはValueに偏ります。

そうすると当然相手が大きくBetしてきたときは、Foldを増やすことで、相手がAA,KKで得られるはずだったEVを減らすことができます。

ハンドレンジが狭いプレイヤーはただでさえ参加頻度が低くBlindを取られているので、見込めたはずのEVまで減らされては大きく勝つことは難しくなります。

 

以上の理由から、プリフロップを適正なレンジで参加することは非常に重要です。

初心者同士の勝負ならば、プリフロップを適正レンジで参加できているかどうかで大きく差がつくでしょう。

 

おすすめのプリフロップ参加レンジ

世の中には多くのプリフロップレンジが存在します。

プリフロップレンジは一つだけ覚えればよいので、①質が高い②初心者が使いやすい③無料の3点を満たしたプリフロップレンジを1つ紹介します。

 

Poker snowieのPreflop Advisor

https://pokersnowie.jp/preflop-advisor

 

スマホからアプリをダウンロードでき、いつでも無料でプリフロップレンジを確認できます。

※上のリンクで有料販売されているのはPoker Snowieという別のツールで、Preflop Advisorとは異なります。Preflop Advisorはスマホからアプリ検索でダウンロードできます。

 

スマホを見ながらPCでホールデムをプレイするもよし、印刷して勉強するもよしです。

詳細説明はリンク先に書いてありますが、以下の5つの状況についてハンドレンジが用意されています。

①自分が一番最初に参加する(Open raiseする)ときのハンドレンジ

②前に誰かがOpen raiseした場合のハンドレンジ

③自分のレイズに対して相手が3betしてきたときのハンドレンジ

④自分の3betに対して相手が4betしてきたときのハンドレンジ

⑤自分がSBorBBで、前に2人参加している(Open raiseとそれに続くCallがある場合)ときのハンドレンジ

 

Preflop Advisorのハンドレンジは、SnowieというPoker AIが、Snowie vs Snowieで勝負したときの最適なハンドレンジを計算したものとなります。

厳密に言うと少し異なりますが、「PCが計算した最適なハンドレンジなんだ」と認識していただければと思います。

 

Preflop Advisorの注意点

Preflop Advisorはとてもよいプリフロップレンジですが、いくつか欠点があります。

以下の欠点も認識した上で利用すればより正確なプレイができるでしょう。

 

①3betサイズが適正でない

相手のOpen raiseに対するこちらの3betサイズがPot bet(100% raise)しかありません。

本来は自分のポジションがIPかOOPかでBet sizeは異なります。(IPからは3倍、OOPからは4倍程度の3betが適切)


②他プレイヤーがリンプインした場合の戦略がわからない

特に初心者が多いスモールステークスでは、UTG~BUのプレイヤーでもOpen raiseではなくリンプインで参加してくる場合があります。

Preflop Advisorは相手がレイズしてくる前提なので、リンプインのプレイヤーへの最適ハンドレンジは分かりません。


③3bet以降でレンジがおかしいケースが存在する

下記は自分がBUでSBに3betされた場合のハンドレンジです。

Preflop Advisorでは、低頻度でA5o,A4o,TQoなどで4betを返していますが、現実的には適切ではないでしょう。(PCのプログラムでの最適解においては理論上正しいのかもしれませんが、我々が現実でプレイする上では組み込みにくいです)

現実ではA5sなどで4betを返すのが良いと思われますが、少し現実とは乖離しているように思われます。

※A5sがBlaff 4betに向いている理由は、自分がAを持っていることで相手がAA,AKを持つ可能性を狭め、かつもしCallされてもFlash,StraightなどKK,QQ,AKに逆転できる場合があるためです

 

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④SBの「自分が一番最初に参加する(Open raiseする)ときのハンドレンジ」にリンプイン(BBの金額分Callして参加する)が組み込まれている

 

Snowieは機械により高度な計算を行うことによって、各ハンドのレイズ・リンプインでの参加頻度を適正にして最適化を図っています。しかし人間ではSnowieのように精緻な計算はできません。(各ハンドで下記の参加頻度を暗記することは無理ですよね、、)

※初心者のうちはBUと同じハンドレンジで参加すれば、大きく最適解から外すことはないと思います

 [SBのオープンレンジ]

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①②③のような欠点もありますが、無料のプリフロップレンジの中ではかなり高精度なことには変わりありません。

欠点を理解しつつ用いれば、初学者が学ぶにあたり最高の勉強ツールとなります。

 

補足)プリフロップレンジを見つける際の注意点

たまに「自分の経験則からプリフロップレンジを作成したので、販売します!」と言っている人を見かけますが、このようなプリフロップレンジを使用することは危ういので避けましょう。

その人がプレイしている環境や相手プレイヤーによってその人の経験則は大きくぶれますし、なにより上のような言葉を述べている人はホールデムを詳しく理解していない可能性が高いです。

*Monker solverなどのポーカーツールで、EVの解析を行った上で作成したプリフロップレンジを販売している場合は問題ないと思われます。作成基準が曖昧でなく、PCで計算しているためプリフロップという限定された状況での期待値は正確に判断されており、その情報をもとにプリフロップレンジを作成しているためです。

Preflop Advisorを使用していれば問題ないですが、念のためコメントしておきます。

 

今回はプリフロップの参加レンジについて解説しました。

Preflop Advisorを使ってハンドレンジを覚えれば、初心者同士の勝負ではかなり有利になり、中級者・上級者との勝負でもプリフロップにおいて一方的に搾取されることはなくなります。

余談ですが、Poker Snowieは vs Poker pro playerの勝負で勝利しているそうです。それほど高性能なPCで作成されたプリフロップレンジを無料で使えると思うと本当にありがたいです!

 

もし記事の内容に不明点があれば、別記事のQ&Aにてコメントいただければと思います。

最後までご覧くださりありがとうございました!